メモリアル抽出液

もうすぐ卒業を迎える俺たちは卒業制作をすることになっていた。

前日、担任から「高校時代一番思い出深い写真を持ってくるように」と言われていた。

朝寝坊した俺は、母親が冷蔵庫に貼っていた運動会の写真を持って慌てて家をでた。

理科の時間。
なにやら「メモリアル抽出液」というものがあるらしく、その溶液に写真を浸すと、写真の思い出からオリジナルの色素が出てくるそうだ。

今年はその色を和紙に染め上げ色紙にする。

「面白そうだな。」

あいつの学園祭の写真は若草色。
片思いの男子と映ってるあの子の写真は淡いピンク。

「さて、お俺のは…。」

溶液に写真を浸す。

「青かな。ん？紫か？」

だんだん色が濃くなって最後は真っ黒。

(そうだ、これ、騎馬戦でズボンをずり降ろされ全校生徒の前でケツを丸出しした時のやつ！)


高校生活最大の【黒歴史】が【黒色紙】に形を変え、一生の思い出になった。