苦い砂糖

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陽光降り注ぐ春の午後。カフェのガーデンテラスで歓談を楽しむ男女達。小鳥のさえずりが穏やかな空気を一層引き立てる。
「ねぇ覚えてる? 貴方とこの店で初めて会った日の事。私が絡まれて困ってるのを助けてくれて……それがきっかけで付き合って、今日まできた……」
女は語りかけながら珈琲に角砂糖を入れる。
一方男はうんざりした様子で珈琲を飲む。
「長話に付き合う気は――」
「まあ、そんなに時間は取らせないから、貴方も砂糖どう? ここのは特別美味しいのよ」
返事を聞かず色ちがいの角砂糖を数個入れる。
「おい!」
「騙されたと思ってグッと飲んでみて、きっと天にも昇るぐらい美味しいから」
渋々男はカップの中身を飲み干す。
――ガシャン…………。
突然の異音にも穏やかな空気は変わらない。

「じゃあね……さよなら……」

女は席を立ち会計を済まして一言。
「彼片付けといてください」
「かしこまりました」
ホラー
公開:20/04/24 21:29
更新:20/04/24 23:27

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

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