ゲームの神様

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 今日も彼は来ている。

 毎日夜遅くまで、近くの洞窟で狩りをしている。目的は、一部のモンスターからのみ、低確率でドロップする稀少なアイテム。このゲームにおけるやり込み要素みたいなもので、そんなに高価がついているわけでもないのに。

 彼は洞窟から出てくると、近くにある小さな祠に跪く。そして、例のレアアイテムを奉納していく。

「…お願いします」

 彼は言って、ゲームを閉じる。

 その様子を、私は祠の中から見ている。

 私は、このゲームの、祠に宿った神。

 ゲームのオブジェクトだろうと、データ上の存在だろうと、信じるものがいれば神は宿る。現に私は存在している。
 
 彼の事情は知っている。
 心に傷を負っている彼は、自分の部屋から出られない。
 だからこうして、せめてゲームの上で、私に祈っている。
 自分のためでなく、人のために、彼は毎日、祈っている。
 
 応えてやらねば。
ファンタジー
公開:20/04/22 19:19

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