ゲームの神様
0
5
今日も彼は来ている。
毎日夜遅くまで、近くの洞窟で狩りをしている。目的は、一部のモンスターからのみ、低確率でドロップする稀少なアイテム。このゲームにおけるやり込み要素みたいなもので、そんなに高価がついているわけでもないのに。
彼は洞窟から出てくると、近くにある小さな祠に跪く。そして、例のレアアイテムを奉納していく。
「…お願いします」
彼は言って、ゲームを閉じる。
その様子を、私は祠の中から見ている。
私は、このゲームの、祠に宿った神。
ゲームのオブジェクトだろうと、データ上の存在だろうと、信じるものがいれば神は宿る。現に私は存在している。
彼の事情は知っている。
心に傷を負っている彼は、自分の部屋から出られない。
だからこうして、せめてゲームの上で、私に祈っている。
自分のためでなく、人のために、彼は毎日、祈っている。
応えてやらねば。
毎日夜遅くまで、近くの洞窟で狩りをしている。目的は、一部のモンスターからのみ、低確率でドロップする稀少なアイテム。このゲームにおけるやり込み要素みたいなもので、そんなに高価がついているわけでもないのに。
彼は洞窟から出てくると、近くにある小さな祠に跪く。そして、例のレアアイテムを奉納していく。
「…お願いします」
彼は言って、ゲームを閉じる。
その様子を、私は祠の中から見ている。
私は、このゲームの、祠に宿った神。
ゲームのオブジェクトだろうと、データ上の存在だろうと、信じるものがいれば神は宿る。現に私は存在している。
彼の事情は知っている。
心に傷を負っている彼は、自分の部屋から出られない。
だからこうして、せめてゲームの上で、私に祈っている。
自分のためでなく、人のために、彼は毎日、祈っている。
応えてやらねば。
ファンタジー
公開:20/04/22 19:19
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます