永遠の一瞬

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幼い頃から、私には私を助けてくれるお姉さんがいた。彼女はいつも私が進む先にいた。そして、いつも黙ったまま微笑んでいた。私が迷った時に正しいほうを教えてくれた。
私は彼女を不思議に思ったことはなかった。私だけにしか姿が見えないことも、深く考えたことはなかった。
中学で男子に告白された時は、彼女が首を横に振ったから「ごめんなさい」と答えた。
高校で進路に悩んだ時は、彼女が指さした大学を選んだ。
そして大学生になった頃、私は彼女そっくりに成長していた。
ある日、大学で私の先を歩いていた彼女が足を止めた。彼女は一人の男性を見つめていた。吸い込まれるように彼女のほうへ歩いた私の体は、自然に彼女の体と重なった。
男性と目が合った。
素敵な人だった。
ドキドキと高鳴る鼓動が、私のものなのか、彼女のものなのかわからなかった。

それ以来、私と彼の後ろを、いつも彼女がついてくる。
黙ったまま、微笑んでいる。
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公開:20/04/22 18:58

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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