凡人の青春

朝、学校に向かう電車内。
ドアが開き、降りなきゃと立った瞬間、急に全部が嫌になる。
そのまま乗り過ごして海に向かい、波に向かって叫ぶ主人公。

学校嫌いな私はそんなワンシーンに憧れて、「そうだ、私も休んでみよう！」と、ウキウキ電車に乗り込んだ。
ところがどっこい、そこには同じ学校の生徒がたくさんいるではないか。
当たり前のことである。
電車がいつもの駅に止まると、周りの生徒はみんな降りていく。なんであいつ降りないんだ？って目で見られている気がして、冷や汗が止まらない。
やっぱりやめようかな、どうしようかな……
いややっぱりやめよう！と決心し立ち上がった瞬間、プシューとドアが閉まった。
改札を抜ける生徒たちの背中がゆっくりと過ぎていった。

立ち上がった手前、席に戻ることもできず、私は隣の車両に逃げ込んだ。
次の駅で降りよう。
そして学校に行こう。
主人公になんてなれないんだから。