テイクアウト

結婚記念日。夫と二人きりで外食もいいが、やっぱり我が家で家族と気兼ねなく食べる食事が一番いい。
いくつもの店を回り、子供達の食べたいもの、夫の食べたいもの、私の食べたいものと、いくつも料理を買い込んでいく。飲み物だって忘れてはいけない。
そんな重くなった袋を持ってくれるのは子供達だ。
いつもはお手伝いなんて嫌がるのに、「好きなものを買っていい」と聞けば喜んでお手伝いの奪い合いだ。
おかげで私は手ぶら状態。凄く楽である。
買い物を済ませると最後に夫の職場へと寄る。
受付で「木下幸助をテイクアウトでお願いします」と言うと「お包み致しますか？」と聞かれたので「お願いします」と答えた。
数分後、真っ白なタキシードに身を包んだ夫が花束を手に現れた。
夫の職場の人達も万雷の拍手で私達を祝福してくれる。
夫は私の左手に花束を、右手を優しく握り「さ、帰ろうか」と微笑んだ。
私達は優しさに包まれ、帰宅した。