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ウチには認知症の祖父がいた。
「おい、飯はまだか?」と荒々しく問う祖父に「もう食べましたよ」と諫める様に母が返す。これがいつもの光景だった。
昔は、幼い私がジャングルジムから落下した時、ここぞとばかりに落下地点で待ち受けていたり、海で溺れそうになった時、何処からともなく颯爽と現れたりと、ヒーローの様な存在だったものだ。
しかし、自分の名前すらろくに思い出せない祖父を私はいつしか邪険に扱う様になっていった。本当に後悔している。
そんな祖父が亡くなってから50年、今では私がお爺ちゃん。
ジャングルジムから落下する孫を受け止めた所だ。
そして、役所に貰った年金手帳と高齢者手帳なる物を読み返す。
高齢者手帳にはこう記されていた。
(高齢者タイムリープの使い方。この能力は、脳に著しくダメージを与え、認知症を発症させます。ご使用の際は自分を捨てる覚悟をして下さい。)と。
「おい、飯はまだか?」と荒々しく問う祖父に「もう食べましたよ」と諫める様に母が返す。これがいつもの光景だった。
昔は、幼い私がジャングルジムから落下した時、ここぞとばかりに落下地点で待ち受けていたり、海で溺れそうになった時、何処からともなく颯爽と現れたりと、ヒーローの様な存在だったものだ。
しかし、自分の名前すらろくに思い出せない祖父を私はいつしか邪険に扱う様になっていった。本当に後悔している。
そんな祖父が亡くなってから50年、今では私がお爺ちゃん。
ジャングルジムから落下する孫を受け止めた所だ。
そして、役所に貰った年金手帳と高齢者手帳なる物を読み返す。
高齢者手帳にはこう記されていた。
(高齢者タイムリープの使い方。この能力は、脳に著しくダメージを与え、認知症を発症させます。ご使用の際は自分を捨てる覚悟をして下さい。)と。
ファンタジー
公開:20/04/21 00:04
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