動機
2
3
若い男が逮捕された。
やったこと自体は、それほどのことではない。迷惑防止条例に引っかかるような内容だ。
「どうしてあんな事をしたんだ」
定年間近の警察官に聞かれても、男はふて腐れたように横を向いている。
「何か理由があるんだろう?」
警察官には、この男と同じ年頃の息子がいた。放ってはおけなかった。
「ゆっくりでいいんだ。話してくれないか」
「へっ!」
そんな警察官の気持ちを知らずに、男は言った。
「理由なんか、ねえよ」
「そんなことはないだろう」
何度聞いても、男は途中で話すのをやめてしまう。
「話してくれよ」
「うるっせーな! 理由なんかねぇよ!俺はとなりのかけがきに、たけがきにたけたけ……くそっ! もういい!」
隣の竹垣に竹立て掛けたのは、竹立て掛けたかったからで、竹立て掛けたのです。
彼が真に己の心情を吐露したのは、それから半年後のことだった。
やったこと自体は、それほどのことではない。迷惑防止条例に引っかかるような内容だ。
「どうしてあんな事をしたんだ」
定年間近の警察官に聞かれても、男はふて腐れたように横を向いている。
「何か理由があるんだろう?」
警察官には、この男と同じ年頃の息子がいた。放ってはおけなかった。
「ゆっくりでいいんだ。話してくれないか」
「へっ!」
そんな警察官の気持ちを知らずに、男は言った。
「理由なんか、ねえよ」
「そんなことはないだろう」
何度聞いても、男は途中で話すのをやめてしまう。
「話してくれよ」
「うるっせーな! 理由なんかねぇよ!俺はとなりのかけがきに、たけがきにたけたけ……くそっ! もういい!」
隣の竹垣に竹立て掛けたのは、竹立て掛けたかったからで、竹立て掛けたのです。
彼が真に己の心情を吐露したのは、それから半年後のことだった。
その他
公開:20/04/22 08:29
朗読依頼等は、お手数ですがこちらまでご連絡ください。
Twitter @hori_mashio
tamanegitarou1539@gmail.com
ログインするとコメントを投稿できます