最◯の７日間

昔、妻が失踪した。

一週間後にはけろっと帰って来て、理由を聞いても、覚えていないの一点張りだった。そしてそのすぐ１ヶ月後、事故で妻は帰らぬ人となった。

妻はあまり感情を出さないタイプで、私は数十回にわたる告白の末、遂に妻の心を射止めた。いや、実際は押しに負けただけかもしれない。妻から好きと言われたことは一度もなかった。

あれから20年、私は長い闘病生活の末、今日退院することとなった。もって１週間と言われた私は、余生を自宅で過ごすことにしたのだ。

家に帰って玄関を開けると、なんとそこに妻が立っていた。

「あなたが寂しくないように、最後に一緒にいられるように神様にお願いしたの」

妻は知っていたのだ。自分の運命を。だからあの時１週間だけいなくなった。自分は、こんなにも想われていたのだ。

はにかむ妻を見ながら、愛しさが込み上げる。

これから、人生で最も幸せな７日間が始まる。