マグネット家族

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母が目覚めのコーヒーを淹れてくれると、僕の一日が始まる。
大学進学のために上京して二年。
僕は毎日欠かさずに母の淹れてくれたコーヒーを飲み、ネットワークに繋がっている。
マグカップを通して、僕たち家族はどこにいても繋がっている。
講義が無い日は、おやつの時間に小さいラーメンを妹と分けて食べる。
実家に暮らしていた時は、妹と話すこともあまりなかった。
でも、今はこうしてコミュニケーションを取れている。離れて初めて、妹と仲良く遊んだ小さい頃を思い出した。
バイトから帰って、夜遅くなってしまう日もある。そんな日でも、父はもっと遅くまで働いて、疲れて帰ってくる。
昔は父の苦労を全然知らなかった。
僕は、父にコーヒーを淹れてあげる。
豆から炒った、凝ったコーヒーでは無いけれども。
お疲れ様。いつもありがとう。
立ち昇る香りが心地よい。
砂糖を入れ忘れちゃった。
苦い顔をする父を想像して、僕は笑った。
青春
公開:20/04/21 23:49

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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