病魔

　ついに来たか！
あれほど注意してたのに。
医者をしてる私のせいで家族に大変な迷惑を。すぐに入院の準備をして検査を受けに行かないと。
マスクを着け大声で妻を呼ぶが電話中で手が離せない様子。
くそっ！
まだ15歳の娘が発症したということは濃厚接触してる他の家族も。
「大丈夫か？美咲！」
長電話を終えた妻がやっと来た。
「いつまで電話してんだ！美咲が大変だ！『食欲がない』って言うから診てみたが味覚も嗅覚も感じないらしい。胸の音はいいから肺炎にはなってないが息苦しいと言ってる。熱はないが『もうダメかも』なんて朦朧として意欲も落ちてる。すまない！俺のせいだ。みんなすぐに検査を受けに行こう」
「大丈夫よ。今、貴子さんと電話してたんだけど。翔馬君さっきお風呂から出たみたいだったから、もうLINEの返信来てるんじゃない？」
元気よくスマホにダイブする美咲。
その後、ご飯おかわりしてた。
…ついに来たか。