孤独を求めて、狼と出会う

　朝倉は孤独を求めて、誰もいない山奥へ行き、自給自足の生活をしていた。
　ある晩、岩陰で焚火をしていると、大きな狼が現れた。なぜか火を怖がらず、また群れてはいなかった。朝倉を襲うわけでもなく、ただじっと佇み、彼を見つめているのが神秘的だった。
　翌朝になっても、狼はまだ動かずに辛抱強く彼を見つめていた。朝倉が立ち上がると、狼も立ち上がり、まるで先導するかのように歩き出した。好奇心に駆られて、朝倉はその後を追った。
　ある大きな樫の木の下で狼は止まり、土の匂いを何度も執拗に嗅いでいた。何か埋まっているのだろうかと思い、朝倉はそのあたりを掘り返してみた。
　人骨が、見つかった。
　狼は潤んだ瞳で彼を見つめた。
　この狼は、幼い頃からこの人間と暮らしていたのかもしれない。だから、火を怖がらず、狼の群れにも入っていけないのだ。
　朝倉は墓を作った。
　そして、彼もこの狼とともに暮らすようになった。