トキメキさん。

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 ある日突然、“きらきら”したものが見えるようになった。

 はじめて、“きらきら”を見た日。道には、夕立がつくった水たまり。それを覗き込んだとき、赤紅の空が映る水面が、“きらきら”と輝き出した。
 また、違う日。お気に入りの画集を見ているとき。どこまでも続いていきそうな「道」の絵が、“きらきら”に包まれた。
 次は、めずらしく早起きした日。キッチンの床に座りながら、白湯から漂っている湯気を見つめていたとき。湯気がなんだか“きらきら”していた。


 

 カーテンを開けると、街は雨に包まれていた。今宵のお供は、珈琲と、ある作家のエッセイ。すると、ある言葉が…。

 「あなたは、“きらきら”を大事にしていますか?“きらきら”を見つけたのなら、それはあなたの“トキメキさん”」


 ふと、気づく。
 あ、あの“きらきら”は、僕の“トキメキさん”。
 僕のトキメキは、日々のなかにある。
その他
公開:20/04/20 10:51
更新:20/12/22 16:08

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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