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「日曜日の雨が好き」
窓に当たって弾ける雨の音を聞きながら、いつか君が言っていたことを思い出す。
世界に一人だけ取り残されたような閉塞感、一抹の甘さを含む寂寥感。そういう気持ちで満たされるのが心地良いのだそうだ。
言われた僕は、しばしの間その言葉を反芻したが、それが何なのか分からなかった。
実際、彼女の言っていることが分からないことは多々あった。彼女は物知りで、感情の忙しないひとだった。
ザーザーとノイズを発する、ダイアルの合っていないラジオをそのままに、僕は外へ出た。未だにラジオなんか聞いているのは僕だけかもしれない。
降り続く雨の音以外、世界には何の音も無い。
崩れたコンクリートのビルの横を通り、錆びたバス停のスタンドを眺めながら、もう一度彼女の言葉を思い出す。分からない時は胸に手を当てて考えてみて、と言われた通り胸に手を当ててみる。
ピピピ、と無機質な音がした。
窓に当たって弾ける雨の音を聞きながら、いつか君が言っていたことを思い出す。
世界に一人だけ取り残されたような閉塞感、一抹の甘さを含む寂寥感。そういう気持ちで満たされるのが心地良いのだそうだ。
言われた僕は、しばしの間その言葉を反芻したが、それが何なのか分からなかった。
実際、彼女の言っていることが分からないことは多々あった。彼女は物知りで、感情の忙しないひとだった。
ザーザーとノイズを発する、ダイアルの合っていないラジオをそのままに、僕は外へ出た。未だにラジオなんか聞いているのは僕だけかもしれない。
降り続く雨の音以外、世界には何の音も無い。
崩れたコンクリートのビルの横を通り、錆びたバス停のスタンドを眺めながら、もう一度彼女の言葉を思い出す。分からない時は胸に手を当てて考えてみて、と言われた通り胸に手を当ててみる。
ピピピ、と無機質な音がした。
SF
公開:20/04/20 05:46
田丸雅智さんのショートショートに感銘を受けて自分でも書き始めました。色んな方の作品を読めるのを楽しみにしています。
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