縁結びコロッケ

今日は楽しみにしていた縁日。
私はこの日をずっと待っていた。
１５歳になるとこの神社の縁日で売っている縁結びコロッケを買うことができるのだ。
好きな人を思い浮かべながら食べるとその人が自分を好きになる。今日こそ憧れのМ先輩の恋人になるのだ。

夜になって私は浴衣を着て屋台に急いだ。髪を結い上げ、顔には初めての薄化粧。
握りしめた１２０円をおばちゃんに手渡して、コロッケを早速食べようとМ先輩を思い浮かべたその時、通りかかったおじいさんが妙に気になった。

おじいさんが言った。「さっき君を見てかわいいと思ったんだ。」