赤の他人スプレー

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 顔に吹き付けると、知人から赤の他人として見られる液体を発見した。顔を洗わない限り、効果は持続する。
 私は液体をスプレー缶に詰め、カバンへしまった。
「しばらく家を空ける」
「いってらっしゃーい」
 妻の声を背に外へ出る。公衆トイレで新品の服に着替え、顔へ向けスプレー缶をプッシュ。自宅へ戻りインターホンを押した。
「あら、どちら様?」
「旦那さんの友人なんですけど、ちょっと話に付き合っていただけますか?」
 私は、自分の過去をさも他人から語られたような口ぶりで話した。妻はあっさりと、私を『旦那の友人』だと信じ込んだようだった。
「最近、旦那さんどうです? 何か気になることとかありますか?」
「そうねぇ。一つだけあるよ」
 妻は勝ち誇った笑みを浮かべ、言い放った。
「変装する時は仕草や口調も変えたほうがいいと、伝えてもらえるかしら」
SF
公開:20/04/19 20:55
更新:21/03/17 21:28

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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