天気が崩れる

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目を開ければ空が見えた。僕は雲の中にいた…ここは天国かな…。
また目を閉じて思い出す。武…婆ちゃん…。

「雨の日に大声を出すな?」
「ああ、空に衝撃を与えて揺らせば雨崩が起きる。雨が一挙に押し寄せてくるんじゃ。雪崩って知ってるな?雪があるから雨もあるんじゃ。おまえの声はただでさえ大きい」
「雪崩の”雪"って天気の雪じゃないよ。行ってきます!」

「って、婆ちゃんが言っててさあ!」
「本当かよ?じゃあ試しに、空に向かっていつもより大声で歌って帰ろうぜ!降りそうだしな」
「いいね!」

武の声が聞こえる…。ごめん、僕が婆ちゃんの言った事を信じてれば…まさか本当に押し寄せてくるなんて…。雨崩か……いや、待て…雨なんて降っていなかった…。

「気がついたか?」
「婆ちゃん…武も…」
「忘れとった。雪崩、雨崩の前に曇崩があった。おまえらが空に衝撃を与えたから、雲が崩れて地上へ押し寄せてきたんじゃ」
ファンタジー
公開:20/04/18 09:45
更新:20/04/18 16:50

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