惑星家族

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うちの兄弟は、惑星の名前が付けられている。
長男は水星、次男は火星、ぼくは地球、そして末っ子は冥王星だ。
ただ末っ子は冥王星が惑星から外されたのと同時に養子にだされた。
ぼくの名前は地球だ。だから長男に”月”と名付けた。2人目以降はどうしようかと頭を悩ませていたら、妻がことなげに言った。
「人工衛星の名前にすればいいじゃない」
その手があった。
そこで、生まれてきた子供にかぐやと名付けた。
非常な難産で、医者から「三人目は控えた方がよい」と言われたこともあり、名前への思い入れはひときわ強かった。妻も「かぐや」という名前を気に入ってくれた。
そうした命名の由来を子供に言い聞かせたのだが、まったく納得してくれなかった。
「どうして、オレにそんな名前を付けたんだよ!」
夫婦はうなだれるしかなかった。夫婦の希望として、どうしても女の子が欲しかったのだ。
例え名前だけであっても。
SF
公開:20/04/18 01:05

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