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                                「実はね、お母さん……悠太のお母さんじゃなかったの」
母は悠太の就職祝いだと言ってすき焼きを用意し、二人で鍋を囲んでいた。
「そんなのどうだっていいよ。血が繫がってなくても育ててくれたのは事実なんだから」
母は苦労しながらも、一人で悠太をここまで育て上げた。
優しい子供に育っていた悠太にとっては、養子だろうと何だろうと関係無いことだった。
「そういうことじゃなくて、血はちゃんと繫がってるの」
「どういうこと?」
悠太は気になって率直な疑問を投げかけた。
母の様子がどこかよそよそしい。
少し間を置くと、母は唐突に自分の頭に手を当てて髪の毛を掴み、引っ張った。
「実はね、お母さん……お父さんだったの」
カツラだった母……ではなく、父の頭は見事にハゲていて、続けてメイク落としを始めた。
少しずつ現れる悠太そっくりな男を前に、すき焼きのグツグツという音だけが部屋に響いていた。
    母は悠太の就職祝いだと言ってすき焼きを用意し、二人で鍋を囲んでいた。
「そんなのどうだっていいよ。血が繫がってなくても育ててくれたのは事実なんだから」
母は苦労しながらも、一人で悠太をここまで育て上げた。
優しい子供に育っていた悠太にとっては、養子だろうと何だろうと関係無いことだった。
「そういうことじゃなくて、血はちゃんと繫がってるの」
「どういうこと?」
悠太は気になって率直な疑問を投げかけた。
母の様子がどこかよそよそしい。
少し間を置くと、母は唐突に自分の頭に手を当てて髪の毛を掴み、引っ張った。
「実はね、お母さん……お父さんだったの」
カツラだった母……ではなく、父の頭は見事にハゲていて、続けてメイク落としを始めた。
少しずつ現れる悠太そっくりな男を前に、すき焼きのグツグツという音だけが部屋に響いていた。
        ホラー
      
      公開:20/04/17 21:43      
    私は元読書嫌いの人間です。
今まで本は学校の教科書や、就職に役立つかもしれないと思った自己啓発系の本を読むという、全然楽しくない読書でした。
小説を読む内に面白くなり、自分でも書いてみたくなりました。
よろしくお願いします。
 
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                           泉 千緒(イズミ チオ)
                泉 千緒(イズミ チオ)