ひきこもり家族

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仕事のふりして書斎にこもっている。小僧は部屋に、妻は世の中を憂い寝室にこもっている。物音がした。連続的な機械音。マスクでも縫うのか。俺は小さくECDのナンバーを流す。ダッテマダハジマッタバッカ21セーキ。ミシンがシンクロ。そして、ブレイク。ブブってスマホが震えた。俺の部屋ではない。小僧の屁か。ここまで経済活動を絶たれたら二酸化炭素は削減されるかしら。やっぱり地球が怒っているのか。終わらない開墾と植民の結末。幸い今月は食っていける。生涯食っていける輩だっている。明日の飯を悩むヒトになにができる。なにより次の飯だろう。ノブを捻り部屋から踏み出す。
「私、おにぎりを握る」
ダイニングには真新しいエプロンを纏った妻。
「俺、一万の貧乏人とつながっているけど」
背後には得意げにスマホを付きつける小僧。
俺には何がある。一万の貧乏人とおにぎりをつなげる術は無いか。旋毛に指を立て頭を回しはじめる。
ファンタジー
公開:20/04/17 20:07
更新:20/09/20 18:46

puzzzle( 神奈川19区 )

作文とロックンロールが好きです。
https://twitter.com/9en_T

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