ミツバチ貨物列車

20
23

毎年、花が咲く春の季節になるとミツバチ貨物列車が運行を開始する。
昔は純国産の日本型車両が大半を占めていたミツバチ貨物列車も、最近では殆どが西洋型車両だ。
蜜蜂が蜜源を発見すると仲間に8の字ダンスで知らせるように、ミツバチ貨物列車も目的地である花畑のハチミツ貯蔵庫に近づくと8の字に旋回しながら走る。
ただ、目的地へと向かう道中でスズメバチ特急の旅客列車などがスピードを上げて暴走運転してくるので、ミツバチ貨物列車は接触事故に遭わないよう細心の注意を払う。
ミツバチ貨物列車は、目的地に辿り着くと連結している空っぽのコンテナに手際良くハチミツを積み込む。そして次の目的地へと向かい、すべてのコンテナにハチミツを満たすとミツバチの園へと運んで戻る。
最近では、人間が住む都会からの注文も増えており、満杯に積んだハチミツを載せたミツバチ貨物列車を東京の銀座や大阪の梅田などで見かけることが多くなってきた。
ファンタジー
公開:20/04/17 19:19
ミツバチ 蜜蜂 蜜源 8の字ダンス ハチミツ スズメバチ 銀座 梅田

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容