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青空市に赤い椿のコサージュを着けた美少女が出店していた。
「いらっしゃいませ。そちらは『黒椿』という品種で作った椿油です」
「黒椿?」
「このコサージュと同じ品種です。ハンドクリームがわりにもなりますよ」
彼女は俺の手をとり、黄金色のオイルを注ぐ。
「私、血の気が多いせいか、鮮やかな赤より、暗い血の色を思わせるこの赤い椿に惹かれるんです」
「へぇ。意外」
「格闘技も好きで……。内緒ですよ」
「内緒」の仕草が可愛くて、触れたくなってしまう。
「約束します」
指切りの態で小指を差し出し自然に彼女に触れる。白くて細い指が俺の指にからむ。
──つるり。
しまった。椿油のせいで滑って乱暴に指が振りほどけた。
「わ。ごめん……!」
──何するのよ。
彼女は鬼の形相でひらりと長机を飛び越え、俺の面にバチンと闘魂注入を決めた。
「冷やかしは帰んな! ボケが!!」
確かに血の気が多いようだ。
「いらっしゃいませ。そちらは『黒椿』という品種で作った椿油です」
「黒椿?」
「このコサージュと同じ品種です。ハンドクリームがわりにもなりますよ」
彼女は俺の手をとり、黄金色のオイルを注ぐ。
「私、血の気が多いせいか、鮮やかな赤より、暗い血の色を思わせるこの赤い椿に惹かれるんです」
「へぇ。意外」
「格闘技も好きで……。内緒ですよ」
「内緒」の仕草が可愛くて、触れたくなってしまう。
「約束します」
指切りの態で小指を差し出し自然に彼女に触れる。白くて細い指が俺の指にからむ。
──つるり。
しまった。椿油のせいで滑って乱暴に指が振りほどけた。
「わ。ごめん……!」
──何するのよ。
彼女は鬼の形相でひらりと長机を飛び越え、俺の面にバチンと闘魂注入を決めた。
「冷やかしは帰んな! ボケが!!」
確かに血の気が多いようだ。
青春
公開:20/04/18 11:17
更新:20/04/18 12:48
更新:20/04/18 12:48
【椿あやか】(旧PN:AYAKA)
◆Twitter:@ayaka_nyaa5
◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
◆お問合せなど御座いましたらTwitterのDM、メールまでお願い申し上げます。
◆【他サイト】
【note】400字以上の作品や日常報告など
https://note.com/nekometubaki
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