玻璃屋綺談(終)愛しき者へ贈り物

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朝のニュース、珍しい鬼車の運行情報、流刑の罪人が出たらしい。
『空書家、七宝』
この名前を見た瞬間何故か涙が頬を伝った。
昨日の事。七宝からの手紙通り店から品物を受取り、さらにそこから別の店へと誘導された。家に帰り人妖の店で貰ったアロマキャンドルを焚いて寝た。ざっくりと言えばこうなるのだが、問題は俺にこの記憶が無く、バイトの記憶も無い事だ。あるのは贈り物の時計と紫色の硝子のピアス、そして黒地に風と蝶の柄の着物一式。誰からのか分からない、でも大切な気がしてならない。
警察の事情聴取でも何も答えられなかった、刑事から教えられなければ昨日の自分の行動も分からなかった。
鬼車の中。手錠で拘束された男は何故か上機嫌だった、その理由はこの一枚の写真だろう、着飾った着物姿の少女。
「そんなにその娘が大事なのね、記憶を消させて守るなんて」
「まぁねぇ……珍しい僕っこならぬ俺っこ?みたいな可愛い娘だしね」
ファンタジー
公開:20/04/16 16:09
更新:20/04/16 17:33

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

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