転生家族

6
7

ある晩、両親に呼ばれた僕は衝撃的事実を告げられた。
父の家系には不思議な力があり、前世の配偶者と子は転生して、再び家族になるというのだ。
僕は毎晩見ている夢に合点がいった。あれは前世の記憶だったのだ。
「僕」が産まれる前に死んでしまったという父さんの代わりに、シングルマザーで「僕」を育ててくれた母さん。貧しかったけれど、必死に働いて「僕」を大学まで行かせてくれた母さん。『匠、幸せになるんだよ』の言葉だけを残して、孫の顔も見れずに死んでしまった……
嗚咽する僕の肩を父さんが抱きしめる。
「やっぱり覚えていたんだな。お前も色々思うことがあるだろう。しかし、またこうして家族三人再会できたんだ。前世ばかりにとらわれず、新しい思い出を作っていこうじゃないか……その前に、一度名前を呼ばせてくれ。前世の息子の名前で」
僕は涙ながらに頷く。父さんの腕に熱く力がこもった。
「ずっと会いたかったよ……幸樹」
SF
公開:20/04/16 13:27
更新:20/04/16 13:31
隕石家族 ○○家族

咲川音

小説を書いては新人賞に応募しています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容