春の花嫁探し

春の麗らかな日、鳥や虫たちが飛び交う花畑で、男達が花嫁になる女性を争っていた。

「ごく自然に私が彼女の結婚相手にふさわしい。容姿も似ているし、住む環境が同じだからね」
「容姿が似ているのなら自分だって同じです。お互い冒険をしたという経験を共有できます」
「いや、あなたは国籍が違うから無理でしょ。献身的に介抱された僕が愛されていないわけがない」
「女っていうのは、強引な男に惹かれるもんさ。嫌な顔したって心の中でときめいてるんだよ」
「君達は全くわかってないね。女性は家の中でたっぷり贅沢をさせてやるのが一番だ」

誰もが譲らないので、花嫁に決めてもらおうとチューリップの花を覗いた。
すると、可憐な花嫁は花の蜜を吸いに来たハミングバードにメチャメチャ刺されて、息が絶えている。

「なあに、こんなに花が咲いてるんだ。花嫁は必ずいるはずさ！」
男達は意気揚々と花嫁を探しに花畑を闊歩していった。