おかえりジョニー

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 一匹の仔猫が木から降りられずに泣いていた。江本はバイト帰りの路地で、偶然その姿を見つけてしまった。彼は猫を連れ帰ってジョニーと名付けた。その日から独身男のアパートは一気に賑やかになった。缶詰やドライフードが当たり前のように台所に置かれるようになった。
 しばらくして、近所の電信柱に探し猫の貼紙を見るようになった。ジョニーそっくりのイラストだ。
 少し冷たい小雨の降る日、江本は小宮奈々という女性の家を訪ねていった。会ってみると優しそうな人だった。江本はジョニーを彼女に引き渡し、申し訳なかったと深く詫びた。
 彼の部屋はまた寂しくなった。雨が降る度にジョニーは元気だろうか、と窓の向こうの空に問いかけるようになった。
 一年後のある晴れた日、今度は小宮が彼の家を訪ねてきた。「もし江本さんにもらって頂けたらと思いまして」。ジョニーの息子が入ったゲージを抱え、彼女は少し眩しそうにはにかんでいた。
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公開:20/04/16 22:00
更新:20/04/17 11:42

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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