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新学期始まって早々、僕は校長先生に呼び出された。
「おめでとう。君が今年の『標本僕』だ」
標本僕ってなに?もしかして僕、標本にされちゃうの!?
怖くて震える僕に担任の先生が教えてくれた。
「標本僕ってのは全国の学生の見本となるべく選ばれた、普通の学生の事だよ」
普通の学生?
「そう。平均的体格、平均成績、平均体力。君はどれをとってもど真ん中だった」
褒められているの?貶されているの?
「褒めているさ!それに平均で言うのなら君は今年中に平均的な彼女が出来るよ」
そう言われると平均って悪くないって思った。

「って、事があったんだ」
夕食時、両親に今日の出来事を話した。
『懐かしいなぁ…僕も標本僕やったよ』
「父さんも?」
『そうさ。そしてその時の彼女が母さんさ』
[ボクらの青春ね]
両親の標本僕の話は非常に平均的だった。

翌日、日本政府からウチに『標本家族に任命されました』と手紙が届いた。
公開:20/04/16 19:42

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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