完璧な家

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 この家は私の誇り。床下から屋根裏まで完璧に設計、把握している。盲目であるはずの私が、杖なしで歩けるほどに。あらゆる防犯対策も施しており、死角はない。
「この家に手紙を送った者ですが」
 ノックを無視した。セールスマンと無益な時間を過ごすつもりはない。
「すぐ破り捨てたから、覚えてないですよね」
 憶測で語りやがって。うんざりしながら、お茶をすする。
「今も居間で居留守してますよね。お茶を口に含みましたが、吐き出さないでくださいね」
 盛大にお茶を噴出した。そんな馬鹿な!
「実は、カメラ越しにあなたの生活を観察してたんです。でも飽きちゃったんで、カメラを取り外すために協力してほしい旨を、手紙に書いたんですけど」
 震える声で私は言った。
「私はこの家の隅々まで知り尽くしている。隠せる場所などありはしない」
「……あなたの義眼。それ、カメラです」
SF
公開:20/04/15 15:00
更新:21/03/17 21:09

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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