大森君がヤンキーと相部屋になった話

22
10

 大森はいたって平凡な大学生で、ヤンキーと呼ばれるタイプの人間と関わることはなかった。ところが、車の免許合宿に相部屋OKで申し込んだら、見事に頭金髪の「ヤバい」のと一緒になってしまった。
 最初は、お互いの世界観があまりに違いすぎて、会話もたどたどしかったが、夜一緒に酒を飲むうちに親しくなった。
 昼間の休憩時間、ヤンキーがジュース買ってきてやるよと気安く言うので、その分の小銭を渡そうと思ったが、面倒になった大森は財布ごと彼に渡した。すると、こんなもん俺に渡したら絶対に盗むぞ、と真剣な眼つきで突っ返された。それが彼にとってのリアルなのか、と大森は驚いた。だが大森は自分の流儀に従い、俺はお前のこと信じてるから、と改めて財布を預けた。
 あとで財布を返してもらったとき、大森はあえて中身を確かめずに、そのままポケットにしまった。
 するとなぜか、次の日から大森は「アニキ」と呼ばれるようになった。
青春
公開:20/04/15 18:39
違う者同士だからこそ 感動が生まれ 友情が芽生える

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容