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父と母の寝室の扉には鍵がなかったけれど、どうしても扉が開かない夜があって、それは、父と母が僕を捨てる秘密の相談をする夜なのだと、ずっと思っていた。
そんなある日、僕は父と母の寝室の扉の近くで、まるで影が固まったみたいに黒い、お菓子のガトーショコラみたいなものを見つけた。
「それはドアストッパーよ」
と母は使い方を教えてくれた。
「こうやって、扉を開かないようにするの……」
僕は「これか!」と思った。こいつのせいで僕は、父と母に捨てられるのだと思った。僕は母の手からそれをむしり取って、思い切り噛み付いた。
「汚い! 何するの!」
母が怒鳴った。
口の中に生ゴムと埃の味が広がって、涎が垂れた。斜辺についている滑り止めのギザギザが喉チンコを擦ってオエッてなった。
母にひっぱたかれ、僕は泣いた。
それからずっと、僕は黒い生ゴム製のドアストッパーで喉チンコを突くのがやめられないんだ。
そんなある日、僕は父と母の寝室の扉の近くで、まるで影が固まったみたいに黒い、お菓子のガトーショコラみたいなものを見つけた。
「それはドアストッパーよ」
と母は使い方を教えてくれた。
「こうやって、扉を開かないようにするの……」
僕は「これか!」と思った。こいつのせいで僕は、父と母に捨てられるのだと思った。僕は母の手からそれをむしり取って、思い切り噛み付いた。
「汚い! 何するの!」
母が怒鳴った。
口の中に生ゴムと埃の味が広がって、涎が垂れた。斜辺についている滑り止めのギザギザが喉チンコを擦ってオエッてなった。
母にひっぱたかれ、僕は泣いた。
それからずっと、僕は黒い生ゴム製のドアストッパーで喉チンコを突くのがやめられないんだ。
その他
公開:20/04/15 09:20
シリーズ「の男」
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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