時計のつぶやき

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王子様と結ばれて幸せな結末を迎えたはずのシンデレラ。しかし今、彼女の顔は暗かった。
「どうしたんだい?」
魔女がそう聞くとシンデレラは深い溜息を吐いた。
「本当に私が王妃で良いのでしょうか?」
これはマリッジブルーだな。魔女は少し考え、部屋に置かれた温度計に魔法をかけた。
「あの時計を見てみなさい」
「あれは温度計よ」
「いいや、あれは温時計だ。今のお前さんの冷たさで時間が凍り付いている。このままではこの国が氷に閉ざされてしまうよ」
魔女の残酷な一言にシンデレラは青ざめる。
「そんな!どうすればいいの?」
「考えなさい。己で答えを出すのよ」
シンデレラはそのアドバイスを受け、自分に出来る事を考え始めた。
魔女は温時計を温度計に戻そうとして、やっぱりやめた。温時計にさらに魔法をかけ、人格を与えた。
『貴方の情熱如きで僕の氷が解けるとでも?』
温時計の冷めた一言にシンデレラは闘志を燃やした。
ファンタジー
公開:20/04/13 18:58

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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