4
4

「ダイソン球」

恒星全体を構造物で覆い、その無尽蔵のエネルギーを効率よく利用するものだが、これが成功すればエネルギー問題の解決どころか、太陽系内の開発や他星系への進出さえも可能となる。悲願のプロジェクトは約百年の時を経てようやく完成へと至った。

「最後のパネルをはめれば完成ですね」
「あぁ、これで化石燃料や原子力に頼らなくて済む」

ところが運用を始めた途端、太陽活動が衰え始めた。

科学者たちは太陽を覆いつくしたことが影響していると考え、急ぎパネルの解体を始めたが活動が元に戻ることはなく、太陽の炎は完全に失われた。

「本当の原因は分からん。ただ科学的ではないが、太陽がほかの星々と連絡を取っており、孤立させたことで死を選んだのではないかと考えている」
「それって寂し死にですか」
「星々にも意思や感情があるなどと考えもせず、ただ実利を求めたばかりに取り返しのつかないことをしてしまった」
SF
公開:20/04/13 16:22
更新:20/04/13 17:55
SF

新月ポン(Araduki Pon)( 奈良 )

SFが好きなのでやはり書いてしまいます。
アイロニカルでブラックなものが多いです。
好きな作家は伊藤計劃と三島由紀夫。あとは海外SF
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容