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ここにはもう電波も電気もない。楽器もないし僕の他には誰もいない。
家? 町? 島? 国? 星? 宇宙? 世界?……
寄せては返す波の音を聴きながら、僕は思い出そうとしていた。砂を摘んではサラサラと落とす。手のひらで水をパチャパチャと叩く。流木を拾ってはコツコツと打ち付ける。
忘れていたのはリズム。記憶に残るかすかなメロディー。
僕らの青春はサザンオールスターズだった。そこにはいつだってサザンオールスターズが鳴っていた。イベントなんてない登下校の、真夏でも真冬でもないささいな記憶の断片の一つ一つだって、そこにサザンオールスターズさえ鳴っていれば、特別になった。
思い出が寄せては返す浜辺を、しだいに潮が引いていく。もう日が沈む。
だけど僕は見つけた、水平線に届くほど広大な砂浜に。
だからどこまでも駆けていく。引き潮が砂に描いた楽譜を、風が奏でるサザンオールスターズを聴きながら。
家? 町? 島? 国? 星? 宇宙? 世界?……
寄せては返す波の音を聴きながら、僕は思い出そうとしていた。砂を摘んではサラサラと落とす。手のひらで水をパチャパチャと叩く。流木を拾ってはコツコツと打ち付ける。
忘れていたのはリズム。記憶に残るかすかなメロディー。
僕らの青春はサザンオールスターズだった。そこにはいつだってサザンオールスターズが鳴っていた。イベントなんてない登下校の、真夏でも真冬でもないささいな記憶の断片の一つ一つだって、そこにサザンオールスターズさえ鳴っていれば、特別になった。
思い出が寄せては返す浜辺を、しだいに潮が引いていく。もう日が沈む。
だけど僕は見つけた、水平線に届くほど広大な砂浜に。
だからどこまでも駆けていく。引き潮が砂に描いた楽譜を、風が奏でるサザンオールスターズを聴きながら。
青春
公開:20/04/14 09:21
新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。
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