玻璃屋綺談(3)バイト君店主と出会う

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学校の帰り道、古びた路地を夕陽が照らす、そこで見慣れない看板に出くわした。
「屋璃玻……やりは?」
じーっと看板を見ていると、店の戸が開いた。出てきたのは長身の男、着流しのよく似合う色男って感じだ。そして俺を見るなりこう言った。
「珍しいねぇ、迷子かなぁ?」
「いや、迷子じゃねぇし、ただこの看板を見てて変だなと……」
「ちょっと古いけど特に変わった所なんて……あ、成る程ね」
色男は勝手に納得したと思ったら笑いながらこう言った。
「ハハハッ! 玻璃屋の読みかたが分からなかったんだねぇ」
その通り分からないという顔をすると正解を教えてくれた。
「これはねぇ、右から読むんだよ」
なんとも恥ずかしい間違えをしてしまった、頭を抱えて落ち込んでいると、こんな声をかけてきた。
「君さぁ、良かったらうちでバイトしないかなぁ……そうだねぇ、日当三千円でどう?」
この日が、玻璃屋の店主七宝との出会いだった。
ファンタジー
公開:20/04/13 22:49

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

キシャシリーズ
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海の家、森のケーキ屋さん
化かされたキツネ
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