先住家族

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「新しいお父さんと馴染めないの。どうしたらいい?」
強気な妹からの、初めての弱気な手紙。わが家が、新しい父を迎えたのは知っていた。が、家族思いの母に、何か考えがあると思っていた。ここは、留学中だが、私の出番だろう。
二千X年。他国の一家族を、家族の一員にする法律が制定された。わが家には、新しい父と母と兄が来た。彼らは名前を使わない国の出身。仕方ないので、私の父を、新しい父にとって隣の存在だから、お隣のお父さん。母を、お隣のお母さん、と呼ぶ事になった。ウチにいるのに、お隣さんとは。
「ここ、私たちのウチだよね!」
と妹。新しい父が、帰郷した私に言った。
「はじめまして、長女。歓迎のハグを」
私の父が、
「娘に触れるな!」
しかし、お父さん。法律では、新しい家族の行動の方を、推奨しているんだよ?

新しい父が言った。
「わかった。私のウチの流儀は、お隣のお父さんの意見を、尊重することだからね」
その他
公開:20/04/13 20:39
更新:20/05/05 12:01
〇〇家族コンテスト

久保田 人月

よろしくお願いします。
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