サイキックマスター城ケ崎ミチル その5

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サイキックマスター研究所の所長であり、二人の良き理解者でもある博士が、ママチャリを必死で立ち漕ぎしながら颯爽と現れた。背中に大きなリュックを背負っている。
「無事か、ミチル君!」
「博士!」
「タケル君はどうした」
「兄ならあそこに」
ミチルは、地面に落としたアイスクリームのようにぐでーっと横たわるタケルを指差した。
「なんと! ひと足遅かったか。いや、君だけでも無事で良かった」
そう言うと博士は、リュックを背中から降ろした。
「博士、それは?」
「うむ。この中には、ムドエに効率的かつお手軽に苦痛を与えるための武器が取り揃えてある」
「ムドエに効率的かつお手軽に苦痛を与えるための武器!」
ミチルの目が輝いた。
「ミチル君。奴を止められるのは君しかいない。頼んだぞ」
「はい!」
――見てなさいムドエ。興奮する間もなくコテンパンにしてあげる。
ミチルの口から、愉悦にも似た忍び笑いが漏れた。
SF
公開:20/04/13 19:21

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