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ある日夫が帰ってこなかった。
この厳しい世界では、いつ何が起きても不思議はない。夫に何かあったら、息子を守るのは私しかいないのだ。みんな自分の家族を守るのに精一杯で、よその面倒を見る余裕など一片たりともない。
一日…二日…時間だけが虚しく過ぎていく。
三日めの朝、誰かが叫んだ。
「あそこ!」
よろめきながら近づいてくる姿——彼だ!
私は走った。我知らず声が迸り出る。私に気づいた彼も必死に駆け寄ってくる。
私たちは固く抱き合った。
「すまない…遅くなって…途中で危ない目に…」
「いいのよ。無事で良かった」
「でも食べ物が何も…これじゃ生きてけない…」
消え入りそうな声で呟く彼を私はフリッパーで抱き締めた。
「大丈夫よ。今度は私が行くわ」
私はペタペタと浜辺を歩き、氷の浮いた海に飛び込むとたちまち弾丸のように泳ぎ出した。
必ず家族を守ってみせる。
私は目の前の魚の群れめがけて突っ込んでいった。
この厳しい世界では、いつ何が起きても不思議はない。夫に何かあったら、息子を守るのは私しかいないのだ。みんな自分の家族を守るのに精一杯で、よその面倒を見る余裕など一片たりともない。
一日…二日…時間だけが虚しく過ぎていく。
三日めの朝、誰かが叫んだ。
「あそこ!」
よろめきながら近づいてくる姿——彼だ!
私は走った。我知らず声が迸り出る。私に気づいた彼も必死に駆け寄ってくる。
私たちは固く抱き合った。
「すまない…遅くなって…途中で危ない目に…」
「いいのよ。無事で良かった」
「でも食べ物が何も…これじゃ生きてけない…」
消え入りそうな声で呟く彼を私はフリッパーで抱き締めた。
「大丈夫よ。今度は私が行くわ」
私はペタペタと浜辺を歩き、氷の浮いた海に飛び込むとたちまち弾丸のように泳ぎ出した。
必ず家族を守ってみせる。
私は目の前の魚の群れめがけて突っ込んでいった。
その他
公開:20/04/12 16:28
◯◯家族
隕石家族
コンテスト
#4
ペンギンのオスとメスは
交代で狩りと育児をします
2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません
【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)
【近況】
第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞
【note】
https://note.com/akishiba_note
【Twitter】
https://twitter.com/CNecozo
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