前人類からの警告

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ある著名な古代言語学者が『前人類からの警告』と題する驚くべき学術論文を発表した。その要旨は以下のとおりだ。

我々人類が誕生する以前、ムー大陸やアトランティス大陸で高度な文明と産業社会を有した前人類が存在した。その前人類の中心を担っていたのが鉄や銅で出来た機械人間だったという。
だが、ある日突然、機械人間は姿を消す。
当時、異常気象が頻発し、地球規模で発生した超巨大津波によって機械人間は流され、海の藻屑となったのだ。その直接の原因は、海水を全身に浴びた機械人間に錆が生じて腐食したらしい。
そして、古くから人類で伝承されている「身から出た錆」という諺はその名残だという。「身から出た錆」には、自らの行いが報いとなって災いが起こるという意味がある。
これは、前人類から今を生きる人類への警告を表しているという。

以上だが、この発表直後、古代言語学者は行方不明となっている。謎は益々深まるばかりだ。
ミステリー・推理
公開:20/04/12 11:16
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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