最後の晩餐

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 最後の晩餐。
僕の相手は君だ。
既に家族にも伝えてある。
食材は調味料を含めても三つだけ。
一粒一粒が白く煌めく。
併せる物により、その色は様々に変化するが最期は白のままがいい。
掌に、母なる海の結晶を振りかけて、愛情を込めて包み込む。
粒達が笑顔で肩を組み団結すると、その目映い光沢は益々輝きを増す。
しっかりと結ばれた君は口に含むと柔らかくパラリとほぐれるが、時が経っても結んだ者の温もりを伝え続ける。
君は何を着ても似合うけど、微かに磯の香りを放つ黒い着物が1番素敵だ。
着物は温もりでしんなりと。
透明になった海の結晶と併さり、舌にも鼻にもじわりと懐かしさが染み込んでいく。
思い出す日々。
運動会。
遠足。
お花見。
誕生日。
看護師だった母が結ぶと少し薬の匂いがした。
アカギレの手で痛かっただろうに。
妻が結ぶと几帳面に整然と並んだ。
僕が結ぶと不揃いだった。
娘が結、、、
うまい。
その他
公開:20/04/12 10:57
実話を元に 描写練習 水素カフェさんに感謝 創樹さんに感謝 秋田柴子さんに感謝

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

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