4
4
子供の頃、祖父の家へ遊びに行ったときに、気になっていたものがあった。
大きな空色の瓶。それは当時の僕の身長よりずっと大きく、異様な存在感を放っていた。
何度か祖父に尋ねたことがあった。あの中には一体何が入っているのか。けれど、いつもはぐらかされるばかりで、その答えは教えてもらえなかった。
その祖父が先日、亡くなった。
遺言で、件の瓶は僕が譲り受けることになった。子供の頃の残念そうな僕の顔を思い出してのことだったのかもしれない。
葬儀も一段落したある日。瓶の中を覗くことにした。すると。
風が、ごう、と顔に吹き付ける。見ると瓶の中に真っ青な空が広がっていた。
すぽん、と吸い込まれる。
うわ……っと。
見渡す限りの青空。何度も真っ白い雲を追い越していった。
雲の切れ間から地上が見える。瞬間。
すぽん。
瓶の中から飛び出す。清々しい気持ち。
祖父の、どうやった? という声が聞こえた気がした。
大きな空色の瓶。それは当時の僕の身長よりずっと大きく、異様な存在感を放っていた。
何度か祖父に尋ねたことがあった。あの中には一体何が入っているのか。けれど、いつもはぐらかされるばかりで、その答えは教えてもらえなかった。
その祖父が先日、亡くなった。
遺言で、件の瓶は僕が譲り受けることになった。子供の頃の残念そうな僕の顔を思い出してのことだったのかもしれない。
葬儀も一段落したある日。瓶の中を覗くことにした。すると。
風が、ごう、と顔に吹き付ける。見ると瓶の中に真っ青な空が広がっていた。
すぽん、と吸い込まれる。
うわ……っと。
見渡す限りの青空。何度も真っ白い雲を追い越していった。
雲の切れ間から地上が見える。瞬間。
すぽん。
瓶の中から飛び出す。清々しい気持ち。
祖父の、どうやった? という声が聞こえた気がした。
ファンタジー
公開:20/04/12 08:00
更新:20/04/12 12:34
更新:20/04/12 12:34
#いろのはなし
たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!
ログインするとコメントを投稿できます