父の背中
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庭草を刈る父の背中を、紀子は見つめていた。小さい頃から、父と言えば毎日スーツを着て会社に行く人、というイメージだった。それが今は麦わら帽子をかぶり庭の手入れをしている。定年退職をしても、人はそうすぐに変わらないものだと、なんとなく高をくくっていたが、どうやらそうでもないらしい。
そのうち音を上げて、紀子も手伝ってくれ、なんて言い出すのではないかと、少し身構えていたけれど、そんな素振りも見せずに、父は黙々と作業を続けている。
もしかしたら、これが本当の父なのかもしれないな。紀子はふとそう思った。誰にも邪魔されずに、マイペースに庭いじりをしている。父とは本来そういう人だったのではないか。それが、家族のために毎日スーツを着て、仕方なく会社に通っていたのだ。
仕事を辞めたいと、本当は父に相談するつもりだった。でも、思い切ってそれを口にできるほど、自分はまだ何も我慢していないような気がした。
そのうち音を上げて、紀子も手伝ってくれ、なんて言い出すのではないかと、少し身構えていたけれど、そんな素振りも見せずに、父は黙々と作業を続けている。
もしかしたら、これが本当の父なのかもしれないな。紀子はふとそう思った。誰にも邪魔されずに、マイペースに庭いじりをしている。父とは本来そういう人だったのではないか。それが、家族のために毎日スーツを着て、仕方なく会社に通っていたのだ。
仕事を辞めたいと、本当は父に相談するつもりだった。でも、思い切ってそれを口にできるほど、自分はまだ何も我慢していないような気がした。
その他
公開:20/04/12 21:18
長編小説の
一幕のような作品を
書きたくなりました
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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