いろのはなし・サンライズイエロー

4
4

僕はこの街に始まりを告げるのが仕事なんだ。
彼は誇らしそうにそう言った。時間は午前6時。まだ辺りは薄暗い。
始まりを告げるって?
私がそう聞くと、彼は
まあ見てて。と一言。

右手の人差し指を立てる。二、三度、空中を反時計回りにかき混ぜる。すると。
すう、と指先に穏やかな、まるで朝日のような色のベールが現れた。
何これ? 小さく呟くと、彼は得意げに微笑み、ひょい、と腕を振った。

ぐるり。シュルシュル。
それはまるでコーヒーの中に溶かし入れたミルクのように解けて街に広がる。
水色の影に覆われていた街は、私たちがいる端っこから順番にその色を変えていく。
クリーム色の壁が、朝日の暖かな温度に染まる。建物が早着替えをしていくように色付く。
街全体に広がった朝日の色は、最後にピン、と光の粒を散らした。
いやあ、今日もいい一日になりそうだねぇ。
彼はそんなことを言って、呑気にあくびをした。
ファンタジー
公開:20/04/11 08:00
更新:20/04/11 07:01
#いろのはなし

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容