インチキ家族

24
16

「インチキ家族のクセに!」
家を飛び出した美咲を探して両親は走りまわる。
俺達家族に血の繋がりはない。
俺も妹の美咲も3歳の時に児童養護施設からこの家に来た。両親からその事は伝えられて育ったけど、俺はずっと家族みんなが大好きだ。
中学に入って美咲は引き籠り、好きな絵ばかり描くようになった。心配した両親が声をかけると毎回飛び出した。
見つけるのはいつも俺の役目。
幼い頃に家族でよく遊んだ公園。

「父さんも母さんも必死で探してるぞ。血なんか繋がってなくても…お前もわかってんだろ」

「お兄ちゃんは悩んだことないの?」

「…中学の頃、反抗してよくここに来てた。その時に寄り添う4本の土筆を見つけてさ。それが俺達家族に見えて。誰かに踏み潰されないように草で大事に囲んでたら家に帰りたくなって…さ、帰るぞ!」
翌朝。
幸せそうな土筆家族のイラストを書き上げた美咲は、制服姿で両親と抱き合い泣いていた。
その他
公開:20/04/11 05:47
更新:20/05/05 18:32
〇〇家族 コンテスト

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容