玻璃屋綺談(2)

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女は帰宅するとワインボトルを眺めていた
「これが本?でも中身がきらきらしてる液体、かしら……まぁ開けたらどんなものか判るか、よし」
オープナーでコルクを開けようとするがなかなか開かない、と力いっぱい引っ張ったその時うっかり瓶を落としてしまった。すると中から嵐の様な津波のような何かが部屋中に満ちた。
きらきらの洋墨の文字なのに体にドロドロとした文章がまとわりついてくる。
「息が……出来……な、い……」


そして、今日のニュース。
独り暮らしの女性の溺死体がマンションで発見された。
「やっぱり守らなかったかぁ」
テレビを見た店主の一言。
女が選んだのは恋愛小説それも泥沼の愛憎劇ってやつ。
見かけはきらきらの洋墨の文字でもドロドロの文章で空気の羊皮紙も紙一重で支えてる問題作。
うっかり瓶を割れば行き場がなくなったドロドロ文章にのまれて御臨終ってことだ。
ファンタジー
公開:20/04/11 00:19

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

キシャシリーズ
キシャとカイシャと異文化交流
海の家、森のケーキ屋さん
化かされたキツネ
玻璃屋綺談

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