玻璃屋綺談(1)

2
3

三日前一人の女が玻璃屋を訪れた、商品棚を物色して店主に声をかけた。
「ここって何のお店なの?硝子瓶ばっかりだけど」
「本屋ですよぉ……これらはすべて本です、ちょっと変わっていますけどねぇ」
店主は煙管をふかして硝子の紫煙を吐きながら気だるそうに答える、そうしてからレジに落ちた硝子を集めて小箱にいれている。客への態度としては最悪だ、それを見たものだから当然相手も切れる訳。
「なんなのあんた!その態度!」
案の定御冠だ、店主はどうするかといえば……。
「すみませんねぇ……そうだ!お詫びと言ったらなんですがどれか一つ無料で差し上げますよ、どれがいいですかねぇ……」
棚を見渡す店主、客もつられて一緒になって見ている。
「あ、これがいい!」
手に取ったのはきらきらとしたワインボトル。
「……いいですよぉ、ただひとつ約束を絶対瓶を割らないでください、ね」
店主はそう言ってボトルを渡した。
ファンタジー
公開:20/04/11 00:11

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

キシャシリーズ
キシャとカイシャと異文化交流
海の家、森のケーキ屋さん
化かされたキツネ
玻璃屋綺談

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容