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ある夜、帰宅の途中に、優しい丸い光が目の端へ飛び込んできました。私は「月だ!」と思い見上げましたが、空に月はありません。ですが足元のまん丸い水溜まりに、まん丸い薄桃色の月が写っていました。
私は「これは奇妙だ」と思いました。
ずっと晴れていたのに水溜まりがあり、そこには、まだ上る時間ではない月が満月として写っているのに、覗き込んでいる私の姿は写っていないのです。
私は小石を拾って水溜まりに投げ入れてみました。トプンと飛沫があがって月が揺らめくと、空が明るくなりました。
薄桃色の満月が輝いていました。
それを見た私は何だかフラついて、水溜まりに片足を踏み入れてしまいました。
「あっ!」
と思ったのも束の間、私の靴底は奇妙にフワリとしたものを踏んでいました。
それは桜の花屑だったのです。私は慌てて足をどけました。
そこに月は写っておらず、輝いていたはずの満月も消えていました。
私は「これは奇妙だ」と思いました。
ずっと晴れていたのに水溜まりがあり、そこには、まだ上る時間ではない月が満月として写っているのに、覗き込んでいる私の姿は写っていないのです。
私は小石を拾って水溜まりに投げ入れてみました。トプンと飛沫があがって月が揺らめくと、空が明るくなりました。
薄桃色の満月が輝いていました。
それを見た私は何だかフラついて、水溜まりに片足を踏み入れてしまいました。
「あっ!」
と思ったのも束の間、私の靴底は奇妙にフワリとしたものを踏んでいました。
それは桜の花屑だったのです。私は慌てて足をどけました。
そこに月は写っておらず、輝いていたはずの満月も消えていました。
ファンタジー
公開:20/04/10 22:20
宇祖田都の話
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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