増えるピクトグラム

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散歩中ふと目に付いた道路標識。こんな所に標識なんてあったか?
「すみません。どいてもらっていいですか?」
声に振り向くと疲れた顔の女性が立っていた。
私は女性に頭を下げ、その場を退いた。
「あなた…佳代…お願い…戻ってきて…私を置いていかないで…」
ぎょっとした。女性は標識に向かって土下座し始めたのだ。
「ちょ…何しているんですか!?」
「何って…ピクトグラムになってしまった夫と娘に謝っているんです。二人は私の束縛から逃れる為に道路標識の中に逃げ込んだんです…」
可愛そうに…この女性は心の病気なんだな…
そう結論付け、私はその場を去った。

家に帰ると息子がまだ宿題をやっていた。私は怒鳴った。
「こんな簡単な問題が何故解けない!?」
息子は涙ぐみ、トイレへと駆け込んだ。逃がすものか!
トイレの扉を開くとそこに息子はいなかった。
扉を見ると覚えのない男子トイレのピクトグラムが張り付いていた。
ホラー
公開:20/04/10 19:10
男子トイレのピクトグラム 膝を抱えた人を真上から見た図 そう見える

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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