瞬間出戻装置

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 このボタンを押すと、今いる場所から、一つ前にいた場所へ強制的にワープする。長押しすることで、連続ワープも可能。帰宅中の事故で、母を亡くした博士が作り上げた自信作。
「危険になってしまった場所や動く物体の側。その他生命に危険がある場合、移動地点をずらすように改良してある」
 博士は手に持つボタンを押した。すると、研究室の扉の前へワープした。次に研究施設前の広場、さらに押すと広場付近の交差点に出た。当然、人や車と衝突しないように配慮されている。
「これで帰り道で事故にあう人はいなくなる!」
 博士が歩き出そうとした瞬間、道の段差に躓き転んでしまった。ワープしてきたために気付けなかったのだ。
 手から離れたボタンが排水路の口に引っかかった。……押された状態で。
「しまっ――」
 ハカセはすさまじい速度でワープを繰り返した。人生で訪れた全ての場所を巡った。
 そして最後に、母の墓の前で止まった。
SF
公開:20/04/11 19:19
博士 装置 瞬間移動 ワープ ボタン 事故

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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