サクラ家族
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「たいやき、ください!」
視線を前に向けると、少年が代金として手渡したのは一片の桜だった。
「なんだ、サクラか」
風が屋台を揺らした。少年は全身を花びらに変えて空に舞った。
境内の中心に咲く二本の桜。夫婦桜と呼ばれるその桜が枝を揺らす度、サクラが生まれる。彼らはお金をもたない。しかし、人口の少ないこの村にとって、サクラは縁日を盛り上げてくれる家族みたいな存在だ。
ふと、桜の下でしゃがむ少女のサクラを見つけた。生まれたばかりなのだろう。不安げに体を抱える両手から、ポロポロと花びらがこぼれていた。
声をかけようとすると、猫がトコトコと前を横切った。猫はたいやきを咥えていた。
「どろぼう!」
驚いた猫はジャンプして空を走り去った。半ば諦めながらも、尻尾から零れる花びらを追いかけると、後ろからクスクスと笑い声がした。振り返ると、少女はお腹を抱えて笑いながら、全身を散らしていた。
視線を前に向けると、少年が代金として手渡したのは一片の桜だった。
「なんだ、サクラか」
風が屋台を揺らした。少年は全身を花びらに変えて空に舞った。
境内の中心に咲く二本の桜。夫婦桜と呼ばれるその桜が枝を揺らす度、サクラが生まれる。彼らはお金をもたない。しかし、人口の少ないこの村にとって、サクラは縁日を盛り上げてくれる家族みたいな存在だ。
ふと、桜の下でしゃがむ少女のサクラを見つけた。生まれたばかりなのだろう。不安げに体を抱える両手から、ポロポロと花びらがこぼれていた。
声をかけようとすると、猫がトコトコと前を横切った。猫はたいやきを咥えていた。
「どろぼう!」
驚いた猫はジャンプして空を走り去った。半ば諦めながらも、尻尾から零れる花びらを追いかけると、後ろからクスクスと笑い声がした。振り返ると、少女はお腹を抱えて笑いながら、全身を散らしていた。
その他
公開:20/04/11 19:07
更新:20/05/06 06:33
更新:20/05/06 06:33
○○家族
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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