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暮れも押し迫った頃、闘士、杜氏、壮士の三人が居酒屋で忘年会を開いた。
酔いがまわって肘に当たったのか徳利がコロンと落ちて割れた。
すぐに店主が出てきて「私どもが至りませんで」と、何故か店主が謝った。
そのうち悪酔いした杜氏が「この酒、まっずーい」と管を巻いた。
店主の額にピキッと血管が浮いた。しかし、「至りませんで」と再び謝った。
あわてて闘士、壮士の二人が杜氏を抑えにいこうとしたが、はずみで三人は転がりぶつかって襖が破れ、襖ごと倒れた。
店主の目が大きく見開かれ、白目には毛細血管が走った。男たちは肝を冷やした。
しかし、店主は「大丈夫ですか? こちらが至らないばっかりに」と平身低頭、謝った。
謝って謝って店主は腰を曲げてどんどんどんどん頭を下げる。そのうちコロンと首がもげ落ちた。ゴロンゴロンと転がりながら首は大きな南瓜に化けた。南瓜はにんまり笑って男たちを睨んだ。
「至りませんで〜」
ホラー
公開:20/04/09 22:16
schoo 至らない冬至

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